Black lily
 
  掃除の時間の教室。小春窓際によしかかっていて友達と話している。
  小春真面目に掃除している。
 
小春 本当、カッコイイよねー!!
友@ だよねー!!
友A またさとる君??
小春 そう、さとる君。
友@ 井上さとる17才。
小春 趣味は牛乳瓶のふた集め!!
友@ 朝、学校に来る時なんてね、チャリ通でもなく、
小春 バス通学でもなく。
友A 一輪車で通学してるんだよー!!ワイルドで素敵!!・・でしょ??
小春・友@ そう!!
友A ハイハイ。さとる君はもういいから雪枝、ゴミ捨てついて来て。
友@あらため雪枝 さつきにはさとる君の良さが分かんないの!?
友Aあらためさつき 分かんないわよ!!・・・憧れの翔太先輩に会えなくても          イイの??
雪枝 翔太先輩!?あのメガネで身長は178センチ体重は23キロの超ヤセ型、
   (雪枝、翔太の事をアドリブで面白く紹介しながらさつきに引っ張られる
    様に下手にハケる。)
 
   (杏菜、ふと掃除をしている手を止め)
 
杏菜 村田さん。
 
   (小春、気が付かずほうきで遊ぶのに夢中)
 
杏菜 村田さん。
 
   (小春やっと気が付いて)
 
小春 びっくりしたぁ。・・・杏菜??どうしたの??
杏菜 ・・・さとる君の事・・好きなの??
小春 えっ・・・う・・うん。
 
        間
 
小春 ねぇ!!
杏菜 何??
小春 今からさとる君の所に行かない??
杏菜 で・・でも今掃除の時間・・・先生が来ちゃう。
小春 大丈夫!!アントニオ山田は42分まで来ないから!!
   (小春、杏菜の手をつかみ、強引に教室から引っ張り出す。)
 
   (教室薄暗くなる。小春登場。小春にサス)
 
小春 この時はまだ気付いていなかった。・・・気付きたくなかった。男が女を
   愛する、女が男に恋をする。そんな当たり前の事をいとも簡単にくつがえ
   してしまう事って本当にあるものなんですね。
 
   (小春ハケる)
   (小春、杏菜の手を握ったまま教室に入る。この時2人は息を切らして登
    場。)
 
杏菜 村田さん・・・もう少しゆっくり走ってくれたら嬉しかったなぁ・・。
小春 ごめんごめん。・・・でも本当何処に行ったんだろうね。さとる君。
杏菜 もう今日はあきらめようよー。
小春 ・・・。
 
   (そこにさとる、ほうきを股にはさみ、走りながら登場)
 
さとる 空襲警報発令!!空襲警報発令!!民衆はただちに避難せよ!!
杏菜 さとる君!?
さとる おう!!どうした!!杏菜兵!!ガス欠か!?
   (杏菜オロオロする。小春たえきれず)
 
小春 さとる君!!
 
   (さとるビビる。)
 
さとる ・・・何だぁ!?
杏菜 あの私達話が・・・
 
   (さとる遮るように)
 
さとる お前ら卑怯だぞ!!何だ!?アレか!?私刑とかいってリンチってヤツ
    か!?
小春 違うの!!・・・ちょっと来て!!
 
   (小春、暴れるさとるを連れ下手へハケる。杏菜、不安げにそわそわしな
    がら2人を待つ。)
 
         間
 
   (小春、泣きながら戻って来る。)
 
杏菜 どうしたの??
小春 杏菜には悪いと思ったケド、やっぱり自分が抑えられなくてさっき告っち
   ゃったのね・・・そしたら・・・「俺は、顔が小倉優子で、体が中山きん
   にくんで、性格はレギュラーの2人を足して2でわった様な女が好きなん
   じゃーー!!!」って・・・
 
   (小春、さらに泣く)
 
杏菜 顔が小倉優子で体が中山きんにくん・・・じゃあ私も結局は振られてたの
   かぁ。
小春 ごめんね杏菜・・・。ごめんね・・・。
杏菜 いいよ。気にしないで!!・・・それにさとる君のお陰でこんなに村田さ
   んと仲良く・・・
小春 小春。
杏菜 え??
小春 小春って・・・呼んで??
杏菜 嬉しい!!小春・・・って呼び捨てで呼んでいいの??
小春 お願い。今度から・・そう呼んで。
杏菜 うん!!
 
   (小春泣きつつ杏菜に抱きつく。杏菜一瞬戸惑うが、小春を抱きしめる。
    小春、杏菜スットプモーション。)
 
   (舞台上手、下手、それぞれに女2人が表れる。)
 
女@心の傷をうめてくれたのは、杏菜だった。優しい杏菜。何も言わず私を抱き
  しめてくれた。
女Aそんな杏菜にお前は恋したんだろう。
女@違う!!杏菜とは友達。中の良い友達!!
女A吐いちまえよ。楽になるぜ。
女@・・・私は・・杏菜が好き。友達としてじゃなく。本当に好きだ。伝えたい
  。この気持ち・・・伝えたいよ。
女A夢見てんなよ。実際言った所でどうなる。付き合うのか?付き合った所でど
  うなる!!それで幸せになれるのか!?
女@駄目だ・・・伝えられない。・・・ああ、でも伝えたい・・・。
 
   (この時小春は体操座りをしてうつむいている。杏菜はいない。女2人が
    話している時にハケる。)
 
   (小春の母親登場)
 
母 起きなさい!!何時だと思ってるの!?
 
   (小春びっくりして母のほうを向く)
 
小春 あーそうか昨日泣き疲れて眠っちゃったんだっけ。
母 何言ってるの!!・・・あ”ーもうまたそんな格好して寝ちゃって!!制服
  ヨレヨレじゃないの!!・・・・杏菜ちゃん向かえに来てくれてるわよ。
杏菜 小春ー!?
小春 お・・・お母さん!!杏菜私の部屋に上げておいて!!
母 それよりあんた制服・・・
小春 いいから!!
   (母上手へハケる。杏菜登場。杏菜、小春の部屋をめずらしそうに見る)
 
杏菜 ここが小春の部屋かぁ。
小春 き・・・汚いからあんまり見ないでね。
     間
 
   (小春、杏菜をジロジロ見る。ふいに杏菜と目が合う。杏菜微笑みながら
    )
 
杏菜 何??
小春 杏菜・・・・ってさぁ可愛いよねぇ。
杏菜 ・・・どうしたの??
 
   (小春、間髪入れずに)
 
小春 背も小さくて、美人で、色白で、髪もサラサラで。
杏菜 そんな事ないよ!!小春だって背高くて、スラッとしてて、色黒で美人で
   ・・・
 
    (遮るように小春、杏菜に抱きつく。)
 
杏菜 小・・・小春っっどうしたの!?
   
    (小春、いっそう抱きしめる)
 
小春 ・・・杏菜ごめん・・・好き。
杏菜 ・・・私も好きだよ?
 
    (小春、杏菜を押し倒す)
 
小春 違うの!!・・・女が男を好きになる様に杏菜が・・・好き。
 
    (ここでストップモーション。上手、下手に女@、A登場)
 
女@ 伝えてしまった。もおう元には戻れない・・・
女A だから言っただろう。もう杏菜とは友達にはなれない。(微笑(小悪魔っ
   ぽく)
杏菜 ・・・私も・・・好きだよ。
女A !?
小春 本当!?
杏菜 でも、小春とは友達でいたい・・・。
小春 ・・・そっかぁ。
杏菜 でも、小春とはずっと、ずっと一緒に居たい。
小春 ごめんね。杏菜・・・(泣きつつ)
杏菜 さぁ!!学校行こう!!
小春 わっ私まだ着替えてないよぉ!!
杏菜 いいじゃない!!
 
    (小春、杏菜下手にハケる。)
 
女@ 結局杏菜とは結ばれなかったけど、私はこれでいいや。
女A ・・・まぁ、お前が幸せならいいけどさ・・・
 
    (車にぶつかる音。しばらくしたら救急車のサイレン音)
 
女@ 何!?
女A ・・・どうやら小春と杏菜に何かが起こったらしい。
女@ 消えてる・・・!?私達消えてるよ!?
女A 受けいれなきゃならないんだ!!
女@ 嫌!!もっと杏菜と一緒に居たい!!杏菜!!杏菜ぁあ!!
        暗転
 
    (葬式でかかるような音楽流れる。杏菜、小春それぞれ上手、下手から
     登場。真ん中に行き、すれちがうがその後気づく。小春が杏菜の方へ
     行く。(下手寄り)一礼して下手へハケる。
 
                 END