THE PART−TIMEJOB
 
   幕開き
   3人の共通のバイト先
   茜が商品棚を整理している。が、すごいノロノロしている。
   隣の棚を、葵が掃除している。
 
茜 (葵をちらっと見て)あーーっ!!
葵 しーっ!静かに!!
 
 バイトの先輩が咳払い
 
茜 ・・・あ。スイマセーン。
葵 ほら。だから言ったじゃん。
茜 てか、なんでウチらが静かにしなきゃいけないワケー?
葵 一応仕事でしょ。
茜 仕事っていってもバイトだしー
葵 バイトでも仕事は仕事。
茜 だったら何??
葵 仕事中はムダ口きかないの、普通は。
茜 だったら?
葵 だから、仕事中は口閉じてなさいってこと。
茜 はぁーー
葵 ・・・・
茜 はぁーーーっ。
葵 ・・・・・・・・・。
茜 はぁーーーーーーーーーー!!!
 
    バイト先の先輩がさっきより大きめな咳払い
 
茜 げ。ス、スミマセ〜ン♪
葵 ほら。言わんこっちゃない
茜 じゃ、ちょっと聞いてよ
葵 ヤだ!
茜 え〜〜ってもっとデカイ声で言うよ
葵 言えばー?
    茜(大きな声を出す準備)
 
葵 ・・・ってちょっと!!何やってんの!?!?
茜 何って、大声を出す準備?
葵 いや、聞かれても。
茜 だって葵ちゃんったら冷たいんだもーん(言いつつ準備)
葵 あーもう!分かった!!聞けばいいんでしょ、聞けば!
茜 おっしゃあ!!!
葵 コラ!
茜 あ。
葵 ・・・スミマセーン☆
茜 で?
葵 いや、こっちのセリフ
茜 うん。それがさぁー
葵 シカトかい
茜 あのね、何か最近ちょっとヤバいんだよねー
葵 何が?
茜 何がって、バイトが
葵 ここの?
茜 そう。
葵 あーアンタめちゃくちゃあの人に目ぇつけられてるもんねー
茜 そうなの!?
葵 そうなのってアンタ・・
茜 うっわ−めっちゃありえない位ショックなんだけど
葵 の割には涼しい顔ね・・・で、それじゃないなら何か?
 
    と、桃子が楽しげに登場
 
茜 それがさぁ・・・何かバイトクビになっちゃうみたいなんだよねぇ
葵 まぁ茜の事だしねー☆
茜 ・・・・。
葵 って本当に?
茜 分かんない・・ケド何かヤバ気
桃子 まぁ、茜先パイって、毎日遅刻してきますからねぇ☆
茜 そーなんだよねーって桃?
葵 ・・・現代のくノの一だ
桃子 やだ〜も〜先パイ方気が付かなかったんですかぁ〜??
葵 まぁ・・・忍だしねぇ
桃子 も〜桃子怒っちゃう!プリプリ☆(例のポーズで)
茜 
桃・茜 ビームッ!!
葵 お疲れー
茜 って待ってよ!!
葵 ・・・ゴメン☆私、そんな変なコト平気でやっちゃうコと友達になった覚え  ないから☆
茜 えー!ウソぉ!!ちょっとアンタのせいだからねー!!もーどっか行って!
桃子 やっだぁ〜先パイひーどーいー。も〜また桃子怒っちゃいますよ〜プリプ   リ☆
茜 あーもーハイハイ分かったから、頼むからどっか行ってて!
葵 ね、桃子何か知ってたりする?
桃子 え〜、知ってるってゆうかぁ〜、ちょっと昨日の夜山田先パイから聞いた   ってゆうか〜
茜 それで!?
桃子 ん〜これ茜先パイの前で言っちゃっていいのかなぁ?
茜 はーやーくー!
桃子 はぁい☆なんかぁ〜茜先パイってぇ〜遅刻も多いし、仕事も全っ然覚えな   いからぁ使えないってぇ〜山田先パイがぁ☆
葵 ウッソ。
桃子 ウソじゃないですよぉ〜桃子の仕入れた情報は100%間違いないですも   ん☆
葵 サイッテー
茜 ・・・ありがと。もういいよ桃。
桃子 はぁい☆先パイ、クビにならないといいですね☆
葵 ちょっと!!
桃子 は〜い。大人しくしてまぁ〜す
茜 ・・・・・・。
葵 茜?
茜 ・・・はぁーっ・・・ヤバイなぁ・・・。
葵 また、さ、バイト探せばいいじゃん
茜 実はここらへんのバイトで唯一受かったのがココなの
葵 あー・・・キツい・・・ね
桃子 あ、じゃあ、今からでも先パイにお近ずきになればいいんじゃないですか   ぁ??
茜 あー!その手があったか!!
葵 でもさ
 
    バイト先の先輩(咳払い)
 
3人 ハイッ!すみません!!
 
    バイト先の先輩(咳払い2、3回・・本当の咳らしい)
 
茜 な、なぁんだー
葵 焦ったー
桃子 もぉ〜、咳なら咳って言ってほしいですぅ〜〜
葵 いや、ムリでしょ。
桃子
茜 へ?
葵 言ってなかったっけ?
桃子 聞いてまーせーん
葵 私はー・・・・・。・・(仕事に戻る)
桃子 あれぇ?教えてくれないんですかぁ??
葵 何で教えなきゃいけないのよ
桃子 知りたいからに決まってるじゃないですかぁ〜〜
葵 謹んでお断りさせて頂きます。やっぱここは茜でしょー一応
桃子 あぁ!年号序列ってやつですね。
葵 「年号」じゃないけどねー濁点取ろうねー☆
茜 ねんこうしょれつ・・?
葵 ・・・バカがもう一人・・・
桃子 あっかねセンパイっ♪
茜 アタシはねー、バイト部だから
桃子 へ??違・・・。
桃子 やったぁ〜〜。それでぇ〜〜??
葵 バイトしなきゃ苦しい状況になったから。
桃子 そおいえば、突然バイトになってからずっといますもんねぇ〜〜。
葵 もういい?
桃子 はい。
茜 早っ!短っ!何ソレ!!!
葵 じゃ、最後は桃ね。
桃子 桃子はぁー、高校卒業したらお嫁さんになりたいんですよぉー☆☆キャッ   言っちゃった☆☆
葵 ・・・は、はぁ・・・。
茜 それで、それで??
桃子 でぇもぉー桃子、女子校なんですよぉーだからぁ、卒業までに未来のダン   ナ様見つけて、ラブAになっておきたいんですぅ☆そのためにはぁ、バイ   ト先にいい人いないかなぁ〜って☆☆
茜 すごーい!!ちゃんと将来の事考えてるんだー☆☆
  
    (葵、仕事に戻ってる。)
 
桃子 もぉ〜、葵先パイ完全シカトですかぁ〜??
葵 さっき言ったでしょ?余裕ないから・・・
桃子 先パイって何か部活入ってるんですかぁ??
葵 人の話聞けよ!!
茜 葵はねー、演劇部。
葵 教えちゃったよ!
桃子 あ、桃子も入ってますぅ〜。
葵 マジでぇー!!
桃子 はい。ちなみに、華道部・琴部・放送部・食物部・文芸部・合唱部・器楽   部・美術部・抹茶部・マイコン・手芸部にも入ってますよぉ〜〜☆☆
葵 いやソレ入り過ぎでしょ!!
茜 すっっごーーいっ!!!!
葵 何かもぉツっ込む気力も萎えたよ・・・。
桃子 あ、ちなみにぃ、全部兼部OKなんでぇ安心して下さいね☆☆
葵 そりゃそーでしょ!!
茜 ねぇねぇ桃、それ、全部行ってたりしてるの??
桃子 そりゃあ、もちろん
葵 行ってんの!?
桃子 全部ぅー・・・ユーレイですよぉ〜〜。
茜 えっ・・・
葵 そりゃねぇ〜・・・茜?もしかして・・信じてた?
茜 ・・・・信じてた・・。
桃子 やっだぁ〜〜、茜先パイったらぁ〜〜ん☆(と、妙なサルとも鳥ともサン   マさんの引き笑いとも違う特殊な笑い声を出す)
 
   (と、客が一人入ってくるが、その光景を見て引き返す。バイト先の先輩    以外誰も気付かない。)
 
茜・葵 ・・・・・・・・。
葵 お疲れー!!
茜 お疲れーっ!!!
桃子 あっ!先パイたちひーどーいー
葵 全ッッッ然ヒドくない!
桃子 桃子怒っちゃうぞ☆プンプー
葵 あぁあぁあぁーっ!!分かった!分かったからソレだけは勘弁!!
桃子 ちぇ〜〜っ
   (バイト先の先輩が、大きく咳払いし、奥へ入るよう身振りで促す)
 
   (3人、顔を見合わせ、のそのそと奥へ)
   (入ってしばらくして)
3人 ええええええーーーーーっ!!!!!!
   (またしばらくすると3人が再び戻ってくる。しかし、全員死にそうなほ    ど暗い。)
 
茜 ・・・やっぱり、か・・・アハハハハ・・・ハ・・・・。
葵 ・・・・・・・。
桃子 ・・・・ぅあーーーーーーん(泣き出す)何で桃子までクビなのぉー!?葵 ・・・さっき、店長から言われた通りだよ。
桃子 (泣きながら)聞いてなかった・・・
葵 ・・・はぁー・・いい?桃、アンタはあの気味悪い笑い声も原因。アレ見た  お客が帰っちゃたらしいし・・・分かった?
桃子 ・・・分かんなぁい。
葵 茜は・・・まぁ納得出来るけど、私は何でよ!?
茜 だって何気に葵さっき1番声大きかったもん。さすが演劇部☆
葵 ・・・嬉しくない・・・。
桃子 せーんぱぁ〜〜い・・・どぉしよぉ桃子ぉ
葵 どぉしよぉ〜〜なんて言われても・・・こっちも真っ白なのに・・・
茜 ・・アハ、ハ、ハハ、ハ・・・・ハ・・・・・。
 
    (みんな茫然自失)  
    (一体どの位経ったのか。)
 
葵 ・・・・・・ダメ。
茜・桃子 ・・・え?
葵 ホラ、2人とも。しっかりして。
茜 葵ぃ〜〜・・・
桃子 ・・・ムリですぅ〜〜→
葵 2人とも、まだ完全にクビじゃないんだよ?
茜 ウソ
葵 ホント
桃子 桃子も・・・?
葵 そう。アンタも。
茜 本当・・・に・・?
葵 正式なクビになるまであと3日ある。
桃子 3日〜〜?
茜 そんなの、あっという間だよ・・。
葵 まだ3日もあるの!その間に何か方法考えよ。
茜 方法って・・・?
葵 クビを免れる方法
桃子 でも、もうクビは決定なんですよぉ・・・??
葵 そんな簡単にクビになってもいいの!?
茜・桃子 ・・・・(首を振るなり)
葵 じゃあ大丈夫だよ、きっと。
茜 ・・・・葵が大丈夫って言うなら・・・大丈夫・・・大丈夫だよね。
葵 ま、確信なんてないけどね〜〜☆☆
茜 ふぇーー→
葵 大丈夫、何とかなる!
桃子 ・・・桃子、考えます!
葵 おっいいねぇ〜〜
桃子 でぇ、何について考えればいいんですかぁ〜?
茜 クビを免れる方法でしょ?
桃子 どうやって?
葵 ・・・意志疎通が図れない・・・っ!!とりあえず思い付いたのから言って  けばいいんじゃない?
茜 んーーー・・・
桃子 店長にぃ、ごめんなさいって謝ってもらう
葵 ん。意味分かんない。
茜 フツーに3日間働く。
葵 フツーに?今まで通り??
茜 うん。
葵 それ、今日中に辞めろ言われるね。
桃子 書類を書き換える。
茜 へ?
桃子 桃子の所とぉー先パイたちの名前をー、田中一郎・二郎・三郎に変えるぅ葵 誰。
桃子 えっそんなコト恥ずかしくって言えなぁ〜〜い☆☆
葵 他、何かマトモなのない?
茜 ・・・んー・・・
桃子 葵先パイも出してくーだーさーいー
葵 考えてたのは、3日間しっかりちゃんと働くこと。
茜 それさっきのアタシのと一緒じゃん。
葵 茜はいつも通りって言ってたじゃん。
茜 心は同じ!!
桃子 でもぉ、なにげに良いんじゃないですかぁ??
葵 しっかり働けば、店長も考え変えてくれるかもしれないし。
茜 しっかりねぇ〜、しっかり働いてたよー
桃子 桃子はテキトーでしたぁ☆☆
葵 何はともあれ、残りの3日間しっかり働いてちゃんと稼ごう!
茜 稼・・・?
葵 うん。変?
桃子 別にぃ、しっかり働こぉ〜〜で止めていいと思いますぅ〜
葵 べ、別に稼ごうっていれてもあんま変わんないじゃん!!
桃子 多数決の原理ですよ〜
茜 1対2で負け♪ 
葵 ・・・分かった。残りの3日間しっかり働こう!!!
3人 おーーーーーっ!!!
 
    (3人働き始める。最初こそペースいいが、次第に茜と桃子のペースが     落ちてくる。)
 
茜 ・・・疲れた・・・。
葵 そういうもんだよ。
桃子 でもぉ・・こんなに・・・??
葵 そ。
茜 はぁー→
葵 あ、ホラ、また言われるって
茜・桃子 ・・・はぁ→
 
   (バイト先の先輩、咳払い)
 
桃子 まぁたセキしてますよぉ〜
茜 カゼ引いたのかな?
葵 さぁ??そんなコトより仕事仕事
 
   (バイト先の先輩、もっと大きな咳払い)
 
茜 ウルサイなぁ
葵 カゼでしょ、カゼ。
桃子 花粉症ですかねぇ〜
葵 この時期に?
桃子 あるみたいですよぉ〜
茜 あー、クラスに1人いる!
桃子 でっしょお〜〜?
 
    (バイト先の先輩、更に大きく咳払いするも、失敗してムセる)
 
葵 あっちゃ〜・・・重症だ。
茜 かわいそ〜〜。
桃子 でもぉ、ちょっとザマミロって感じしません??
葵 は?
桃子 だってぇ、あの人がチクったんですよ絶対ぃ〜
葵・茜 あ。
桃子 ねぇ〜〜?
茜 なーる。
葵 ・・・ちょっとだけ、気持ちいいなぁ
 
    (バイト先の先輩、咳払い)
 
桃子 もぉ〜〜(振り向く)
 
    (バイト先の先輩、手招き)
 
桃子 ・・・げ。先パぁい・・・
茜 どっち?
桃子 両方ですぅ
葵 何?
桃子 アレ・・・。
 
    (バイト先の先輩、手招きしている。3人全員らしい)
 
    ∴3人、バイト先の先輩の所へ行くと、先程と違うロッカールームらしい     しばらくすると3人が出てくる。
 
茜 ・・・何か、めちゃくちゃヤバいよね・・・。
桃子 あの作戦完ペキだったんじゃないんですかぁ〜〜?
葵 うん・・・やっぱ喋っちゃたからだ・・・。
3人 はぁ〜〜→
茜 違うバイト探そっかなぁ。
桃子 桃子も・・・。
葵 私もそうしよっかなぁ・・・・。
茜 あぁっ!ダメだ・・・
桃子 へ?
葵 あぁ、でもここら辺のバイトだけなんでしょ?
茜 そうだけど、学校から近い方がいいから・・・
桃子 じゃあ先パイココにいるんですかぁ?クビになりかけなのにぃ??
茜 う・・・・そ、そういう桃こそどうするのよ。
桃子 まぁ、桃子はぁ、どこでも雇ってくれるんでぇ〜〜☆☆
葵 何それ。どういうコト!?
桃子 やっぱり世の中、愛とコネですよぉ〜〜☆☆
茜 そうなの!?
葵 いや、アンタだまされスギ。
茜 葵は?
葵 んー。またバイト探しはキツいし、ココ何気に時給良いから、頑張ってココ  で働く。
桃子 部活、どうするんですかぁ?
葵 分かってもらうしかないっしょ。
茜 そっかぁ・・・どうしよー。
桃子 桃子のお友達に頼みましょうかぁ??
茜 ヤだ。何か・・・負けた気がする。
桃子 そんな意地はってもぉ〜〜。 
茜 いいのっ!
桃子 あとで後悔しても知りませんからねぇ〜。
茜 するワケないじゃん!
桃子 あ、言いましたね〜!?絶っ対ですよぉ!?!?
茜 ・・・いいよ、自力でやるもん!
桃子 へぇ〜〜〜
茜 何。
桃子 いいえ〜。がんばってくださいね☆☆
葵 はいはい、そこまで。まだ残り2日間はココなんだし、そんな焦るコトない  と思うよ?茜。
茜 あおい〜!やっぱ葵やっさしーい!!
葵 やっぱ?
桃子 はぁ・・・残り2日かぁ・・・
葵 そ。2日。
茜 ・・・仕事、やりますか☆
葵 だね。
桃子 はぁい☆☆
 
    ∴と、3人仕事に戻る。相変わらずお喋りはやまないが、今までの中で     一番テキパキしている。
                        END