・朝崎郁恵「おぼくり」というCDを聞きながら読みました。泣きました。途中から、半分ほど過ぎたあたりから、おいおいと泣けました。なんてやさしいんだろう、なんて優しい人たちの日常はとげとげと意地悪なんだろう……はじめは陰険だとしか思えなかった母子のやりとりが、分厚いこのひと時のための必須の装置だと知った時、作者のはかりごとの深さを知りました。感謝します。読ませてもらって。
・「ばかにされるくらいならその人とつきあわん」の意味は誰のことを指しているのか、よくわかりませんでした。(鈴江はなにか差別の問題に関係することかな?と無根拠に想像したのですが)が、妻との一件をさしていて、それがさらに子の健康な振る舞いに、伝わる……情熱的でまっすぐな人たちの生き様が、うれしい。みながいるから幸せ、というただただささやかなことの幸せがこんなに胸に迫ってこようとは、驚いた。
・今はほんの短編ですが、どうか是非、三倍にしてください。もっと格段の構成が必要になりますが、それでAAF戯曲賞に。日本劇作家協会新人戯曲賞に。上演してOMS戯曲賞に。正当に評価されてほしいと望みます。
・その構成も思い切り言葉を節約した、読者を選ぶ、贅沢な文学として成立させてくれたらすごくよいでしょうね。